教育

英語も哲学も、知識として覚えるだけのものではありません。自分で問いを立て、人とともに考えるための道具として教えています。

授業で大切にしていること

重視しているのは、正解を覚えることよりも、問いをはっきりさせ、根拠を確かめ、考えを組み立て、相手に伝わるように表現することです。英語教育、批判的思考、哲学教育の知見を組み合わせて、学生が授業のあとも自分で学び続けられるような方法を工夫しています。

  • Academic Writing
  • Discussion
  • Presentation
  • Critical Thinking
  • Generative AI
  • Intercultural Learning

担当授業

東京都立大学の Academic Studies in English(ASE)を中心に、英語のライティング、ディスカッション、プレゼンテーションなどの授業を担当しています。ASEの開講科目や内容は年度ごとに変わるため、最新の情報はASEのウェブサイトをご覧ください。

生成AIと学び

授業を設計するときに基準にしているのは、「優れた道具が生まれたら、それに合わせて目標を変える」という考え方です。走り高跳びの背面跳びは、柔らかい着地マットが普及して初めて可能になった跳び方でした(1968年のメキシコシティ五輪で、ディック・フォスベリーがこの跳び方で金メダルを取っています)。道具は代わりに跳んではくれませんが、新しい跳び方と、より高い目標を可能にします。生成AIも同じです。学生が授業の外でも自分のレベルに合ったフィードバックや会話の練習を受けられるようになったぶん、目標を引き上げ、ライティングでは長い小論文を、スピーキングでは英語での模擬面接を最終課題にしています。そこで鍵になるのは、AIの指摘を鵜呑みにせず、どれを採り、どれを退けるかを自分で判断する力、いわば「AIを押し返す」力です。

同時に考えているのは、道具があまりに優れていれば、競技そのものが変わってしまう可能性です。誰でも10メートルのバーを越えられる器具があれば、走り高跳びという競技は成り立ちません。陸上競技では2020年に、競技の公正を守るため、シューズの靴底の厚さに上限が設けられました。道具を規制して生身の能力を守るのか、それとも何を「跳ぶ力」と呼ぶのかを定義し直すのか。生成AIは、英語教育にもこの問いを突きつけています。

批判的思考について

批判的思考とは、相手の誤りを見つける技術ではありません。何が主張されているのか、それをどの根拠が支えているのか、どんな前提が隠れているのかを、丁寧に読み取るための技術です。哲学で培われてきた議論の方法を、文章を書く、会議で話し合う、研究する、物事を決めるといった日々の場面で生かせるようにすることを目指しています。

生成AIがもっともらしい答えをすぐに返してくれる今だからこそ、自分で問いを立て、情報の確かさを見きわめ、自分の判断に責任をもつ力が、いっそう大切になっています。